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2016年12月15日 (木)

補正の遡及効

論文答案の添削をしていると、ときどき受験生が補正の効果について「遡及効」と書いて

きます。

遡及効とは、「法律や法律要件の効果がその成立以前に遡って効果を有することをいう

(『法律小事典』有斐閣)」らしいので、出願時まで効果が遡る補正は確かに遡及効です

ね。分割や変更の効果も遡及効。一方、パリ優先や国内優先は「出願の効果」が遡及

するわけではないので試験論文では遡及効とは書きません。「出願時の利益」などと表現

します。

ところで、分割や変更は効果が条文上明確です。論文で効果の根拠条文を書くときに「44

条2項(準用)」などと示せば良いわけですが、補正の遡及効はどこに根拠があるのでし

ょう。

中山特許法によると「遡及効を認めないと補正の意味がなくなるので当然のことと考えら

れている」などと説明されています。吉藤特許法概説では趣旨から遡及効を有するといっ

た内容が示されています。

「当然」とは言われても、論文を書く側からしてみると、なんつーかしっくり来ない。

 

パリ優先や国内優先が登録要件ではなく「出願」を単位として、その効果を遡及効とは言

わないという点から、「遡及効」は出願を基準として考えれば良いということでしょうか。

すなわち、分割や変更は出願の判断基準時が原出願時に移動するが、補正は出願時

自体は変動しない。 仮に「補正が遡及効を有しない」という取扱いを考えると、登録要件

を補正時の明細書等で判断する、すなわち「出願時が補正時に繰り下がる」ということで

す。 補正の効果は、遡及効というより「出願時が繰り下がらない効果」とも言える訳です。

そして、工業所有権法は出願時が繰り下がる場合と繰り下がらない場合がある場合、

「出願時が繰り下がる場合」の効果を積極的に規定しています(意16条の2等)。

よって、そのような積極的規定に該当しない場合は「当然に」出願時が繰り下がらない、

すなわち遡及効を有する、と言えることになる。

自分の中では腑に落ちたのですが、どんなもんでしょう。

はっちゃけ理論ですので、論文には書かないで下さいね^^

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