« 論文試験合格発表 | トップページ | 閃きの番人w »

2017年10月19日 (木)

論文試験の振り返り

例年論文試験は、試験内容や合格者の傾向からどのような答案が求められていたのかなんとなくイメージできます。記載が軽くても項目を落とさないことを重視するタイプの受験生は少ない論点を掘下げて書くような問題が苦手でしょうし、丁寧な要件検討を意識する受験生は、沢山の設問において項目を列挙するような問題で時間不足になりがちです。

 

しかし、今年の試験は何が合格者と不合格者を分けたのかいまいち判然としません。再現してくれた構成を見るとそれなりに論点が挙がっている答案にひどい点数が付いていたり、普段から要件検討を相当しっかり練習している実力者が不合格になっていたりします。

一方、相当に軽い論述で、本人も受かると思っていなかったような方が受かっていたりもします。

単に項目を挙げれば点数が付く試験でなかったことは確かのようです。しかし、要件検討を丁寧に行う方も落ちている。一体「どこ」で差が付いたのでしょう。

 

今年の問題は、設問の問われ方が「説明せよ」「述べよ」「論ぜよ」等、バリエーションがありました。「説明する、述べる」などは別段法律用語というわけではありませんので、この問われの違いにより、出題者がどのような書き分けを求めているのか読み解くためには、一般の国語辞書によりその意味を求める必要があります。

「述べる」にせよ「説明する」にせよ、あまりに一般的な用語であるため、逆に厳密な意味を意識しない傾向があり、また辞書ごと解説が異なります。しかし、どの辞書を引いても「述べる」よりも「説明する」方が、詳細な説明を意味するニュアンスで解説がされています。一例として大辞林第三版などは「説明」を「よく分かるように述べること」としています。すなわち、論文においては、「述べよ」よりも「説明せよ」という問いに対して厚い記載をする必要があることは間違いなさそうです。

そう考えると、「説明せよ」という問いに対し、項目を列挙しただけの答案は題意に答えていないことになりますので、点数がほとんど付かないという扱いをされてもおかしくありません。一方、意匠法問題Ⅱのように警告段階における検討事項を列挙し「述べよ」などという問いに対しては、対応ごとの詳細な要件検討よりも項目を「落とさないこと」が重視されたと考えることもできます。

 

特実問題Ⅰの設問1⑴は、国際出願日が認められるための「手続」が問われていました。PCT11条を書いたという方は多かったですが、設問に対する答えとしては、「手続」という直接事項を意識する必要があったことは当然です。

 

一般的に論文は、「どんな書き方をしていても内容が合っていれば点が付く」と言われています。そしてそれは正しいと思いますが、「内容が合っている」というのが、単に条文の要件が全て列挙されている、ということに留まらず、質問と回答の対応、条文解釈の前提としての日本語として、出題に合致していることまでを含めて「内容が合っている」と判断されるとするならば、予備校としては苦しいところです。

 

とはいえ、出題者側が「機械的な処理で論文問題を解く」予備校的な答案を嫌っているというのはしばしば耳にする話です。かといって、平成一桁のような問題に戻すことも容易ではない。となると、出題者の意図をどれだけ汲んだ答案を書けているか、という点を採点に反映させるという運用を行うことも、あながちあり得ない話ではないように思えます。

 

上記は個人的な想像の域を出ない話ではありますが、今年の受講生には題意をより意識した答案を作ってもらえるよう、お話しをして行きたいと思いました。

 

« 論文試験合格発表 | トップページ | 閃きの番人w »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1959924/72007643

この記事へのトラックバック一覧です: 論文試験の振り返り:

« 論文試験合格発表 | トップページ | 閃きの番人w »